Inception/インセプション

クリストファー・ノーラン監督のインセプションを観てきたので感想。所々ネタバレ含みます。

【あらすじ】
主人公コブは人間の夢(潜在意識)にもぐりこみ、アイディアを盗む企業スパイ。
彼は自殺した妻のモルを殺害したとして逃亡生活を余儀なくされていた。そんな彼に巨大企業のトップであるサイトーという男から犯罪履歴末梢を報酬に仕事の依頼が入る。その内容は、ライバル企業を解体させるべく、次期社長ロバートの夢の中に潜り、アイディアを盗むのではなく、植えつける(インセプション)というもの。その困難さから一度は依頼を断るコブだが、再び子供たちと暮らすために依頼を引き受け、共に任務を遂行する仲間を集め始める……。

まず、公開前から話題になっていた映像がすごい。夢の中であるという設定を活かした様々な表現が楽しい。特に序盤の夢の中パリは迫力あります。しかし、パリの上にパリを乗っけるなんてことやってる割に、戦闘シーンは以外と地味。超能力使いまくったアクションを期待したらガッカリするかも。最近の映画らしいスタイリッシュな戦闘をやっていてカッコイイんですけどね。でも、ここは映画のミスというより宣伝側のミスですね。

ストーリーの面では、やや混乱してしまいました。目的は一貫しているのですが場面がコロコロ移り変わるのでそれにつられて「あれ?結局今何したいんだっけ?」となりました。夢のダイブに関する本作独自の設定が多くあることもそれに拍車をかけてた気がします。一通りの説明はされますが、詳しくは語られない部分が多く、その設定への疑問にますます混乱させられました。しかし内容はスリリングで面白かったです。夢に囚われることの怖さ、人間の成長などの要素もあり、じっくり考えることもできるすとーりーでした。
登場人物達が皆キャラが立っていたのも良かったです。誰もががチームに必要不可欠って感じで、空気キャラはいないし、プロ集団だから結構ドライな関係なのかなと思いましたが、途中友情みたいなものもみれて良かった。個人的にコブの昔からの同僚アーサーが気に入りです。物理法則が崩壊しつつある2階層に一人残り、3階層にダイブして無防備になっている仲間をしっかり守りぬいた仕事っぷりと、「パラドックスだ!」の決め台詞にシビれました。もし続編でるならまた同じメンバーで集まってほしいなぁ。
ラストは大団円的な良い雰囲気で終わります。飛行機の中で皆が達成感を感じながら顔を見合わせてお互いの安全を確認しあうシーンが印象的。主人公も妻の幻影と決別し、子供たちの笑顔と向き合えるようになった。あそこでコマの回転が続いても、止まっても、ハッピーエンドだと思います。唯一気の毒かなと思うのはロバート君。すっかり主人公たちの仲間入りをしていたように見えても、結局は騙され続けたわけだし、感動的な父子の和解も夢の中の出来事。人間として成長できても、それが会社を終わらせかねない……。良いやつのなにカワイソー

アクションシーンでハラハラするも良し、伏線やストーリーの解釈で深く考えてみるも良し、色々な見方が用意されていて良い映画だな〜と思いました。