【それぞれの正義が交錯する―】クロッシング / Brooklyn's Finest


アメリカ/クライムサスペンス/アントワン・フークア監督/リチャード・ギアイーサン・ホークドン・チードル、他
【あらすじ】
犯罪多発地区ブルックリンに勤める3人の警察官。ベテラン警官で退職を目前に控えるエディは日々を無気力に過ごし同僚からも新米警官からも軽蔑されている。麻薬捜査官で家族思いのサルは病気の妻と5人子供たちのために法に触れてまで金を得ようとする。潜入捜査官のタンゴは自身の昇進と潜入先のギャングのボス、キャズとの友情の間で苦悩していた。そして、ある日起きた強盗殺人事件をきっかけにそれぞれの正義が揺れ、交錯する。

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【満足度】★★★☆☆
クライムサスペンスに分類されてますけど特に謎という謎も事件も犯罪描写もなく、人間ドラマとして捉えたほうがしっくりくる映画かと。3人の男がそれぞれ次第に追い詰められ、苦悩し、決断していく姿が描かれます。3人のドラマを時間に沿って変わり変わりに映していくという作りで、全体を通して重々しい雰囲気ですがテンポは良いです。3人が交錯するという要素は薄く、宣伝されているような3人が知らず知らずのうちに関係し合い、1つの事件に発展していくというようなものではありませんが、終盤に登場人物が偶然にも同じ場所に集まる展開にはドキドキしました。
結構な豪華キャストで、俳優さんはそれぞれ素晴らしい苦悩っぷりを見せてくれるのですが、特にリチャード・ギアのダメ人間っぷりはすごい。完全に目が死んでる。名演だと思います。メインの3人の登場人物を囲む脇役たちもいい味出してます。
また、銃撃シーンが意外と気に入りました。アクション映画ではないので本当に短いシーンがいくつかある程度ですが、重みのある銃声に、本作の重い雰囲気もあってなかなかに緊張感があります。
ラストは評価が分かれそう。少なくともスッキリする終わり方ではないです。それまでが非常に良かっただけに、このモヤモヤが残るラストは痛かった。
宣伝とラストに若干の不満はあるものの善悪について考えさせられる濃密な映画でした。

【こんな人にオススメ!】

  • 渋い男が好きな人
  • 暗い話が好きな人

【私的名シーン!】

  • 懺悔するサル 神父を撃ち殺してしまうのではないかと思ってしまうほどの病みっぷり。その後見せる良き父、良き夫としての姿との対比がなんだか悲しい。
  • 愚痴を言うエディ あぁ…もっとゆっくり…そう、そこだ…いいぞ…。